あの時、僕が強ければ、今くらいに、力があったら。
そう思うのは、今に始まったことじゃなかった。
「何で死んだの?」涙ながらにそう問えば、僕と同じ顔した彼女は言う、「貴方のせいでしょう?」
君が弱いから、力が無いから、弱虫で役立たずだから、だから、だからだから。
だから親に嫌われるのよ、見捨てられるのよ、そう、誰も悪くない、悪いのは君でしょう?
黙って。
誰に口をきいているの?
喋っているのは僕、君と同じ、いや、僕は君。君は僕。ねえ、違うの?
うるさい。
まぁ、せいぜいそうやって誰かのせいにしていればいいじゃない。
弱いのは誰?グズなのは誰?我儘甘ったれの困ったちゃんは、だぁれ?
黙ってよ、うるさいよ、耳障り、全部、ぜんぶぜんぶぜんぶ。
僕と同じした彼女は言う、「全部君のせい、悪い人なんてだれ一人としていないのよ」、と。
嗚呼、でも確かにそうでしょう、弱かったのは紛れもなく、この、自分。
もっと強ければね、いい子だったらね、沙羅は、嫌われなかったかな。大切な人一人、ちゃんと守ってあげられたかな?
でもね、ねえ、それは、
願っても仕方のないこと、でしょう?
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